last update 2014年5月26日 16:08

名古屋の至高「山猫軒」。グラスの向きでワインの味が変わる不思議体験!

けっこう前ですがゴールデンウィークの最終日、名古屋 丸の内にある孤高のレストラン「山猫軒」に行ってきたのでレポートしてみます。

元は豊橋にあったのですが、昨秋、名古屋へ移転したお店です。家から近くなったので、近いうちに必ず行こう!と決めていました。

面白いもので、この日はたまたま、お店の徒歩圏内にいるときに、これまたたまたま「ひま猫軒」メール(予約人数が少ない時に来る 助けてメール)が飛んできたことに相方が気付きまして。

空いていたせいか、食事だけなら3,000~4,000円と、このお店にしては激安で食べられるチャンスだったので、電話予約してからお邪魔しました。

特にタンパク質モノの調理の繊細さと、ワインの飲み方への気付き、そして、オーナーさんの語り口がとても特徴的なお店で、そのうち有名になる予感がして仕方ない。そんなお店です。

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予約の10分前に到着。入るのに躊躇する、ある意味凄い建物です。
お店はこの建屋の2階にあります。

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階段前に銅製の看板が…。

「ここにしかない本来のイタリア、フランス、日本のお料理や、ここならではの すっぽん の料理…」と書かれていました。

通常の予算は7,000~20,000円程度。当日電話の場合は今回のように3,000円~で食べられる日もあります。

定休日は「予約の無い日」。とのこと。来店前の事前予約が必須のお店です。

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宮沢賢治の「注文の多い料理店」に出てきた「山猫軒」を彷彿とさせる不安なアプローチと入り口です。ドキドキします。

店内に入ると他に2組のお客さんが。カウンターのみで18席のお店です。

席に座って初めての来店であることを告げると、まず、オーナーさんが「歪んだ」ワイングラス「樹」の説明をしてくれました。

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オーナーさんによると、丸いグラスはワインを壊してしまうそうです。

実際に体験してみましたが、確かに、丸いワイングラスを傾けたまま(ワインが上から見て一度も円形にならないまま)飲むと、一度でも立ててから飲んだ時と比べて明らかに優しい味になります。

これがボトルの中に入っているままの味で、この状態で飲むと、ワインにはオールマイティ性があるのだとか。

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また、この「オールマイティグラス 樹(いつき)」は、飲む向きによってもワインの味が大きく変わる、非常に不思議なグラスでした。

広い方から飲むと優しい味に。狭い方から飲むと濃い味の料理に合いそうなしっかりした味に変化します。すごく不思議です!

ということで、コースとは別料金でお酒もお任せでお願いする事にしました。

お酒は、オーナーさんが選んだお酒をストップと言うまで注いでくれる。という変わった方式。通常は3,000円、5,000円、7,000円という感じだったはず。

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いきなり値段の付けにくそうな日本酒が出てきました。秋田の太平山の百周年記念。大吟醸の古酒です。

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コースはすっぽんの吸い物から。豊橋時代からすっぽんの生産者との繋がりがあったようです。品のよい丁寧なお味。

外が寒かったのでほっとしました。

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鯛のそら豆すり流し。火加減に想像を絶する注意深さを感じる一品です。かなり大きい鯛の身との事。確かに大ぶりの鯛は旨いですよね。

このあたりで「あー、こりゃこの店凄いわ。」との確信を持つに至ります。

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先の鯛の子の和風です。魚卵ってこんなに美味しかったですかねぇ。

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自家製パンのオードブル風。いちじく、桜えび、トマトなど。

いちじく比率が異常に高いパンの上に乗っているバターが異常に旨く、かつ、良く合います。桜えびもパンには勿体無いレベル。

見た目に派手さはありませんが、所詮、外食のパンなんて。とタカを括っていたのでやられました。笑顔が止まりません。

真ん中はリンゴのコンポート風。砂糖を使っていないそうですが自然かつ十分な甘さです。

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鯛のカルパッチョ。乗ってるのは多分ルッコラ。

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生ハムメロン、いちじく、はちみつ、フレッシュチーズ(ブッラータ)の盛り合わせ。

口の中でメロンが溶けるまで待ってから生ハムを噛んで味わうと良い。とのアドバイスに従って食べると、「今まで食べた生ハムメロンって何だったんだろう。」という感じ。そもそもこの生ハムが異常に旨い。

それにしても、ブッラータと「はちみつ」のマリアージュは凄い。どこのはちみつなのか、詳しい話しを聞いて来れば良かった…。

一品一品の素材の良さが光りつつも、組み合わせも秀逸で、良いものを食べた。という気分です。

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飲み干したグラスをカウンターに置くと、次々といろんなワインがサーブされます。

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この日はシャブリのグランクリュまで出てきました!うーん。お会計が合わないんですけど、ホントにいいんでしょうか(笑)

ワインはサーブする都度、ちゃんとプリザーブ用のガスを充填していました。

ワインであれ日本酒であれ、お酒ってのは開封するとドンドン味が変わっていくものです。

「特別なお客さまには開封したてのお酒をお出しする。」なんてお店は少なくありませんが、ここはお酒の保存状態にかなり気を使っているのが飲んで分かるレベルなので、その手の心配は少なくて済みそうでした。

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その後、フレンチっぽい感じのメニューが続きます。これはチーズとパンとトマトのアンチョビ風。みたいな感じだったような。ご機嫌です。

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ホタテとムール貝とレタスのソテー。

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この日の食事は特製の「山猫チキンカレー」でした。

カレーなんて、と思われるかもだけど、と、色々とこだわりを聞かせてもらいまして。使っている鳥は市場に出ない鳥を使っているとの事。

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お弟子さんが次回分の鳥を捌いていました。こういうのが苦手な人は事前に言っておいた方がいいかもしれません。

ここでは宇治田農場から首付きの丸鶏を仕入れているようです。非常に健康的な鶏に見えました。

カレーのご飯も鳥の出汁で炊いたものとの事。うーん満足。

途中、ドイツワインのように甘い不思議な日本酒が出てきたのが印象に残っていますが…確か岐阜の銘柄だったような…詳細忘れました。

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最後、別料金のデザートもお願いしました。この日はティラミスでした。

チーズがいいんでしょうか?非常に優しい味です。悪いものを食べている気が全くしません。

この日は「ひま猫特価」という事で、食事代が確か3,500円。あと、お酒とデザートが別料金で、2人で12,000円でした。

写真ではあまりそうは見えないかもですが、率直に言ってこれはお値段以上の満足度。間違いなく「お値打ち」でした。

この日はたまたま空いている日にメルマガ特価で小安く食べさせていただきましたが、ちゃんと予約していけば、普段は一人でこのくらいはする感じのお店です。

「楽しむ心の余裕」を持って行きたい。意外性の店

僕たちは、ここがどういうお店なのか、を年単位でウォッチしていたので悪いサプライズはありませんでしたが、知らない人がいきなり行く場合は、この店が普通の評価軸とはちょっと違う軸の店だ、という事は知っておいた方が不幸が無い気がします。

多分ですが、このお店は、「この季節の この品質の この料理に このお酒が凄く合う」という美しいマリアージュを求める風でなく、特徴あるグラスで飲む事によるワインのオールマイティ性への気付きと、食材の調理による変性を如何に制御にするか、という部分に、恐らくは非常なこだわりがあるお店と感じます。

ですから、例えば、ある程度のレストランなら常識といえるサーブ技術とか、雰囲気とか、そういうものを期待していくと、面食らう部分があるのは確かです。

 

実は最後、オーナーさんから、「今日、何が美味しかったですか?」と聞かれたのですが、その時、僕は生意気にも「パンに対する期待値が低かった分、いちじくのパンが美味しかったです。」と答えてしまいました。

しかし、本当に特筆すべきは、肉や魚、豆などのタンパク質の変性に、これほど気を使っている店はちょっと思いつかない。という点です。

だから先の質問には、「はじめの方に出された鯛のそら豆すり流しの芸術的な火加減」と、答えたほうが良かったのかもしれない。とは今さらですが思ったりもしています。

多分、温度にせよ調理時間にせよ、調理方法にせよ、オーナーさんの頭の中に理論があって、それに則って非常な気遣いをされてると思うんですよね。食べてそう思うんです。

こと、その部分に関しては、ここまでストイックにこだわっているお店というのは、ちょっと他には思い浮かばないレベルと言って良いと思います。

そういう部分、そういう意味で、ここは名古屋の至高と言っても良いのではないか。とは思います。

 

あともうひとつ、注意する点があるとすれば、飲む方向でワインの味がベラボーに変わる、「オールマイティグラス 樹」の原理の説明を受け入れられるか、受け流せるか、という部分はあるかもしれません。

初めてここでお酒を飲む場合、オーナーさんからその原理を要約して説明をしていただけるかもしれないのですが、この説明を聞くと「?」と疑問符が付いたり、正直、うさんくさく感じる場合もあるかもしれません。

が、それは確かに自分の舌で感じる事ができる「実在する不思議現象」でもあるので、理屈はともかく、多少の大らかさを持って楽しむのが良いのかも。とは思います。

 

この日はたまたま不幸な事に、お昼に非常に美味しいカレーを食べてきた事もあり、最後のカレーは「美味しいし、材料も決して悪いものじゃない。」という風に感じてしまいましたが(それは、辛いものが旨いものか、という私の評価とも関係があるかもしれませんが)、それと鯛のカルパッチョ以外は、いずれも至高の一品ばかりだったと思います。

一応、山猫軒さんの名誉のために言っておくと、これでも「あるものだけでお出しする感じになっちゃいますけど…」というメルマガ特価の内容でこれですからね。

このお酒とこの食材が合うはずが無い!という常識を覆す、ワインの「オールマイティ性」という意外性を堪能できる、死ぬまでに一度は行っておきたい店。として、オススメさせていただきます。

 

※ 本記事の写真は山猫軒さんが自由に利用できる。という条件で撮影・掲載しています。高解像度の写真も別途ございます。
※ 本記事を書くにあたり、お店からの便宜や利益供与はございません。

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