英キャリア「Three」がネットワークレベルでの広告ブロックを6月中に実施予定(2016年)

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英国のモバイルキャリア「3(Three)」は、ネットワークレベルでの広告ブロックを6月中に実施予定であることを明らかにしました。

今回の広告ブロックは試験的なもので、日程は2016年6月13日から20日までのうち24時間のみ。対象はオプトインユーザーのみに限るとのこと。ただし、将来的にはアドブロッキングを3000万人にロールアウトする、とも表明しています。

Three によるネットワークレベル広告ブロックは、Shine 社が持つ技術によって実現されるものです。その技術の詳細は語られていませんが、ディープ・パケット・インスペクション(DPI)と機械学習を活用したものであると推測されます。

Three は、ネットワークレベルでの広告ブロッキングを進める理由として、以下の3つを挙げています。

  1. 顧客に広告ダウンロードによる従量課金をさせたくない
  2. 顧客のプライバシーとセキュリティを脅かすマルバタイジング(malvertising(※))の存在
  3. ブラウジング速度の低下やバッテリー消費の増大など、広告によるブラウジングへの悪影響を Three は望んでいない

(※「マルバタイジング」とは、マルウェア拡散や悪質なサイトへのリダイレクトなど、悪意のある仕掛けを含むオンライン広告のこと)

なお、今回ブロック対象となる広告には、WEB広告だけでなく、アプリ向け広告も含まれます。

最近の広告ソリューションは、セキュアな通信プロトコルである HTTPS に対応したものも多く、今回のようなネットワークレベルでの広告ブロッキングがこれらにどこまで有効かは不明ですが、サイト全体の HTTPS 化が必要となるHTTPS広告の導入は、現状では進んでいないのが実情のため、それなりの効果が期待できそうです。

また、仮に HTTPS 広告を導入しても、HTTPS には通信先サーバーを秘匿できないという制約がありますので、キャリアがその気にさえなれば、広告にしか使われないと確信できるサーバーとの通信を丸ごと遮断することで、広告をブロックすることは可能でしょう。

ただし、今回はディープパケットインスペクションを使うと推測されていることから、そのような乱暴な通信遮断を連想させるものではありません。

広告ブロックによるスマホ通信量の抑制は、キャリア目線で見ると、回線の混雑回避や設備投資の削減、また、場合によってはオプション料金の徴収など、かなり魅力的に見える施策であるため、昨今の欧州での取り組みが成功すれば、他国キャリアへ波及する可能性も考えられます。

日本国内でこういった前衛的な取り組みをしそうなキャリアと言えばソフトバンクグループですが、同グループは、通信最適化と称して画像を圧縮したことで糾弾された過去があるため、ユーザーの理解が得られないと、導入はなかなか難しそうです。

ソース:

Hatena Pocket Line

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