携帯各社のスマホ向け通信速度規制と1GB当たり料金まとめ

 

eyes0140

一昔前までは 3G 一色だったスマートフォンの世界ですが、最近は、ドコモの Xi が順調に契約数を増やす中、au は WiMAX 搭載スマホで対抗。といった感じで、次世代通信技術が身近なものになった感があります。

また、次世代通信規格には対応していないながらも依然人気の iPhone は、昨年の au 参入以降 Softbank 版と選べるようになりました。

そんな中、スマートフォンによるトラフィック急増が問題となり、各社のインフラの強さやパケット通信規制がにわかに注目を集めています。

そこで今回は、ケータイ各社のスマホ向け通信規制を比較し、特に1GBあたりの通信料金に着目する事でパケット定額サービスの隠れたお得度を比べてみようと思います。

※2012/7/13 10月導入予定のドコモ「Xiパケ・ホーダイ ライト」を比較対象に追加。イーモバイルへの700MHz帯割り当て反映。スマホBB割延長対応。所感更新。文書ブラッシュアップ。
※2012/5/15 表の装飾を更新
※2012/5/14 情報最新化。と、それに伴い文章を大きく加筆・修正。特に2012年1月の au iPhoneスタートキャンペーン終了を計算に反映、5月からのXiスタートキャンペーン新価格に対応、Xiパケット規制延長に対応、ソフトバンクの電波状況の変化に対応。新記事扱い。

※この記事は新しい情報が入り次第、適宜更新します。

各社の通信規制をまとめる

まずは携帯各社のスマホ向け 3G パケット定額サービスについて、価格、ひと月あたりの通信許容量、通信規制内容などを表にまとめました。

スマホ向け3Gパケット定額サービスにおける通信規制と1GBあたり価格一覧

ドコモ
(FOMA)
auソフトバンクイーモバイル
通信規制
発動条件
直近3日で300万パケット以上直近3日で300万パケット以上前々月1ヶ月で1000万パケット以上24時間で300万パケット以上
通信規制
内容
通信速度を制御する可能性通信速度を制御する可能性当月1ヶ月間通信速度制限の可能性当日21~翌2時に通信速度制限
1日あたり
通信量
(※1,2)
122MB122MB40.7MB366MB
ひと月あたり
通信量
(※1,3)
3.66GB3.66GB1.22GB10.99GB
パケット定額通信料
(参考)
5,460円/月
(パケ・ホーダイ フラット)
5,460円
(ISフラット)
5,460円 or 4,410円/月4,580円/月
(スマートプラン・シンプルにねん)
1GBあたり
価格
1,492円1,492円4,475円
iPhoneは
3,615円
417円
特記当日を含む直近3日間で判定当日を含まない前日を含む3日間で判定iPhoneは4,410円/月基本使用料を含む。

※1 帯域制限に引っかからない通信量の参考値。判定はパケット数。
※2 平たくした場合の1日換算目安。例えばソフバンの場合、月間規制値に達しなければ1日で1GBのファイルを落とす事も可能。
※3 ひと月=30日で計算

イーモバイルだけは、基本料金を含んでいる点に注意が必要です。

次に、LTE、WiMAXなどのスマホ向け次世代通信規格の速度規制も表にしてみましょう。

スマホ向けLTE・WiMAXパケット定額サービスにおける通信規制と1GBあたり価格一覧

ドコモ
(Xiパケホ)
ドコモ
(Xiパケホライト)
UQ WiMAX
通信規制発動条件月間7GB超 or 直近3日間で約1GB以上月間3GB超 or 直近3日間で約1GB以上なし
通信規制内容月間7GB超→当月末まで128kbps制限。
直近3日間で約1GB以上 → 他の人より遅くなる事がある。
月間3GB超→当月末まで128kbps制限。
直近3日間で約1GB以上 → 他の人より遅くなる事がある。
なし
1日あたり通信量
(※1)
239MB100MB上限なし
ひと月あたり通信量7.00GB3.00GB上限なし
パケット定額通信料
(参考)
5,985円/月
(Xiパケ・ホーダイ フラット)
4,935円
(Xiパケ・ホーダイ ライト)
3,880円/月
(UQ Flat年間パスポート)
1GBあたり
価格
855円1,645円算出不能
特記2012/9末まで規制無し。10月以降は2,625円追加毎に通信量2GB追加
2012/9末までパケ定4,935円キャンペーン
10月以降導入予定の新プラン。
2,625円追加毎に通信量2GB追加
通信規制なし

※1 帯域制限に引っかからない、ひと月=30日で計算した場合の1日あたり通信量。

1GBあたり通信料金をランキングにしてみると?

先の表を元に、速度規制発動条件ギリギリまで通信した場合の1GBあたり通信料金のランキングを出すと、下記表のようになります。

スマホ向け3G/LTEパケット定額サービスの1GBあたり通信料金ランキング

順位キャリア・サービス1GB当たり通信料金
1イーモバイル 約417円(※1)
2ドコモ(※2)
(Xiパケ・ホーダイ フラット)
約855円
3ドコモ
(FOMA)
約1,492円
3au約1,492円
5ドコモ(※3)
(Xiパケ・ホーダイ ライト)
約1,645円
6ソフトバンク
(iPhone)
約3,615円
7ソフトバンク
(その他)
約4,475円

※1 イーモバイルは基本料金込。

※2 ドコモ(Xi)は2012/9末までパケ定が4,935円/月のキャンペーン実施。7GB通信できるとすると1GB当たり705円となるが、パケット通信規制を2012/9まで行わないこと、また、キャンペーン期間が(標準的な契約である)2年縛りに対して短い事もあり、キャンペーン料金期間中の単価はランキング対象外とした。

※3 Xiパケ・ホーダイ ライトは、2012年10月以降導入予定の新プラン。

総評

各社についての所感をまとめます。

イーモバイル

見ての通りぶっちぎりにお値打ちなのはイーモバイルなんですが、地方のサービスエリアが狭い事と、1.7GHz帯を使っているため端末調達が難しく、スマートフォンのラインナップが乏しいのがネックです。

ただ、端末のラインナップについては、ドコモ・KDDIと隣接する700MHz帯が付与された事により、将来、改善する可能性もあります。

また、対応スマホが出ていないのが残念ですが、イーモバイル LTE の評判が良く、対応機種があればランキングに入れたい所ではあったんですが、まだ当分は難しそうな情勢です。

ドコモ

最下位のソフトバンク「非iPhone(Androidなど)」と比べ、5倍以上のコストパフォーマンスを誇る Xi(パケホーダイ フラット)の健闘が目立ちます。

これを見る限り、ドコモさんは、LTEの通信効率の高さを消費者に還元している。と言えそうです。

Xi スマホのテザリング機能も、月間7GBという転送量のお陰で多少は使えるため、モバイルルータが不要になればさらにお値打ちでしょう。

その一方、10月から導入予定の「Xi パケ・ホーダイ ライト」のコストパフォーマンスはFOMA以下。という結果になりました。

おいおい FOMA よりは頑張ってくれよ。とは思いますし、ドコモの肩を持つ気もありませんが、実際の所、回線を使いたい時は偏るものなので、FOMA の直近3日のキツい制限よりは、Xi パケ・ホーダイ ライトの月間制限の方がマシ。というケースは多そうです。

最近は派手な月々サポートや「プラスXi割キャンペーン」等もあり、MNP一括0円にありつければ、他キャリアよりかなり安いドコモですが、料金体系が分かりにくく、(敢えてなのかもしれませんが)オトク感の演出に失敗している点は残念です。

以前はドコモと言えば品質。という感じでしたが、最近は、FOMA だと時間帯や場所によってはキツい時も出てきています。Xi なら空いているわけですが、そちらはそちらで、今度はバッテリの持ちが悪い、などの問題を抱えています。

個人的には最初から Android 4.0 が入った Xi 端末の軽快さはなかなかだと思うので、2012年の夏モデルあたりからは契約状況の悪化に一定の歯止めがかかるんじゃ?という気もしなくはなかったり。

au

意外や意外。ソフトバンクより高いと言われる au 版 iPhone が、逆に1GB当たりだと安い点は驚きです。

Android・Windows Phone 機を選ぶ場合でも、1GB当たりコストパフォーマンスが FOMA 並、というのは評価できるでしょう。

対応する固定回線を契約している場合はau スマートバリューを使ったり、学割併用でさらに月額費用を抑える方法もあります。

iPhone などの一部機種で WIN High Speed 非対応なのがネックかなぁ。とは思いますが、2012年4月の EV-DO Advanced 導入、及び、後述のメディアファイル最適化以降は、実効通信速度改善の気配もなくはありません。

また +WiMAX  対応機種なら 月額525円で WiMAX も使えるので、外出先でパケット使用量を気にする機会は更に減るでしょう。これは他社に無い強みと言えます。

WiMAX は不要な時だけ OFF にもできるので、バッテリを節約できる点も大きいと思います。

あと、いつの間にかソフトバンクと似たようなメディアファイルの最適化を導入しているようです。

通信の最適化について

  • ISシリーズのパケット通信は、画面の表示速度や動画の再生開始時間を早くする最適化を行なう場合があります。
    具体的には以下ファイルを対象に2012年4月以降導入予定です。
画像ファイルBMP、jpg、gif形式
動画ファイルMPEG、AVI、MOV、FLV形式
  • ※ 上記内容は変更となる場合があります。その場合はご案内致します。

ソフトバンク

全員が大量の通信を必要としないとはいえ、特に、音楽・写真などのメディア系クラウドサービスを使いこなす先進ユーザーには、ソフトバンクの1.22GB制限はかなりキツいと思います。

価格だけでなく、エリアや電波状況・サービスなども含めて総合的に判断するモノとは言え、1GB当たり単価にこれだけ差があると、価格以外が相当良くないともはや検討対象外。というレベルです。

背景には、他社と同等の通信量を許容できないというインフラの問題点と、しかし同等の料金は取りたい。という思惑が見え隠れします。ソフトバンク3Gの通信許容量が他社と同等になる日は来るのでしょうか…。

固定回線とのセット割としては後発対抗でスマホBB割を始めましたが、こちらも2012年9月末で終了という事で弱い感があります。

また、改善したとは言え、ソフトバンクは実効通信速度の遅さという問題も未だ抱えています。

au 版 iPhone 4S が一波しか掴めない関係上、iPhone を使うならばソフトバンクもアリかもしれませんが、少なくとも Android を使う場合は、電波の薄さ・1GBあたり通信料の両面からソフトバンクは無し。というのが私の意見です。

900MHz 帯の電波を吹くようになれば、劇的に改善すると言っておられるので、それが通信許容量に還元される事を期待したいと思います。

このブログは、都度、状況の変化に合わせて更新していますので、ぜひ、この部分が削除されるよう頑張っていただきたいところです。

(※最近のソフトバンクさんは頑張っておられるので、一部記述は取り消させていただきました。)

ちなみに、au さんが2012年4月から順次導入している特殊な通信制御(メディアファイルなどの最適化)ですが、ソフトバンクさんは結構前から導入済みです。

UQ WiMAX

UQ WiMAXは通信規制なしのため、1GB当たりの計算だと最もお得という事になります。

高速移動時の事を考えると WiMAX と3G / LTE は根本的に違うためランキングから外しましたが、静止状態で使うには大変良い選択だと思いますし、au の +WiMAX 機との組み合わせはかなり面白いと思います。

個人的には高速移動時の通信安定性を重視するのであまり好みませんが、パケット使用量の事なんて考えたくない。という場合は WiMAX 以外の選択肢は無いため、有り難い存在と言えるでしょう。

その他のパケット定額について

今回はスマホ向け通信定額サービスに絞って紹介しました。

モバイルルータやデータ通信端末向けの通信定額サービスについては、契約・料金等が変わってきますので別途ご確認ください。

ちなみに、イー・モバイルのモバイルルーターやデータ通信端末の通信規制は、スマホと同じ。(価格は別)

ソフトバンク回線を利用するWillcom core 3Gの通信規制は、上記表のソフトバンクの項目に準じるようです。

携帯各社の公式発表・ソース

携帯各社のソースは以下です。

docomo

au

ソフトバンク

イー・モバイル

検索用キーワード:転送量規制, xi, 240MB

Hatena Pocket Line

この記事へのコメント(3件)

  1. iPhone 質問スレッド Part205 « iPhoneの口コミ says:

    12年前

    [...] 37:iPhone774G:2012/01/02(月) 21:30:33.25 ID:MC38AJ2M0:37 >>35 通信速度規制 http://www.teradas.net/archives/1488/ 38:iPhone774G:2012/01/02(月) 21:31:51.29 ID:sCBb6bvN0:38 4S32G買ってきました。 [...]

  2. 〓SoftBank HTC Desire HD 001HT part36 « smartphone says:

    11年前

    [...] それだけならまだしも、欲しい機種がないorz 218:SIM無しさん:2012/05/15(火) 14:10:39.49 ID:AwiU+z/x:218 >>216 なんか↓とか見てると逆に損してる気になってきた http://www.teradas.net/archives/1488/ [...]

  3. おーじ says:

    11年前

    ソフトバンクやauのLTE回線についても記載して欲しいと思います。

コメントを記入