MVNOの格安SIMだとGPS測位が遅くなるケースがある？

料金の安さで注目されているMVNO各社の格安SIM・格安スマホですが、いざ使うとなると本当に大丈夫なのか、心配に思う人もいることでしょう。

という事で何回かに分けて、格安SIMとキャリアSIMの違いや注意点に触れてみたいと思います。

今回は、たまに噂される「MVNOのSIMとGPSの相性」についてです。

ドコモ版Android機+MVNO SIMでは、GPSの測位スピードに違いが出るケースがある

結論から言ってしまうと、MVNOの格安SIMでもGPSが使えなくなる、という心配はありません。

しかし、ドコモ版 Android  機+MVNO SIM の組み合わせの場合、GPSが温まるまでの時間を短くする仕組み「A-GPS」が動かず、測位の速度に差が出るケースが実際にあるのです。

細かい話も書きますと、Android 機は GPS 測位時、SUPLサーバからGPSアシスト情報を取得することで GPS 測位時間を短縮する仕組みを持っていますが、ドコモ版Android機ではこの部分にカスタマイズが入っており、ドコモのSPモード以外からだとアクセスできないSUPLサーバーへ接続しに行く仕様となっています。

このSUPLサーバは、ドコモのSPモード契約がない限り到達出来ないネットワーク上にあるため、当然、MVNOのSIMでは A-GPS が使えない。つまり、衛星からのナビゲーションメッセージのキャシュが空っぽの、いわるゆ「コールドスタート」時のGPS測位時間が長くなる傾向がある、と言えるわけです。

もちろん、衛星からのナビゲーションメッセージのキャッシュがあるうちはGPSがコールドスタート扱いにならないので、こういった症状は発生しません。しかし、久しぶりにGPSを使う場合とか、毎朝最初の測位だけはいつもより待たされる。といった現象は少なからず起きるわけです。

iPhone/SIMフリーAndroidではGPS問題は発生しない

GPS絡みは複雑なため、正確、かつ、分かりやすくまとめるのが大変難しいジャンルなのですが、誤解を恐れずに結論だけ書くと、次のとおりとなります。

• iPhone＋MVNO SIMではA-GPS がらみで測位が遅くなる問題は発生しない
  → AppleのサーバーからGPSアシスト情報を取得するため
  →キャリア販売機・Apple販売機を問わず遅くならない
• SIMフリーAndroid端末＋MVNO SIMでも、A-GPS がらみで測位が遅くなる問題は発生しない
  → Google のSUPLサーバや、GPSチップメーカー独自のA-GPSサーバを参照するため
• キャリア販売の Android 機ではコールドスタートからのGPS測位時間が長くなるケースがある。ただし、機種によってはその差が実用上あまり気にならない場合もあるし、気になる場合でもアプリで対策できる可能性がある

という感じ。

ドコモ版Android機＋MVNO SIMでGPS測位の遅さが気になる場合は、自己責任にはなりますが、接続先SUPLサーバ名を強制的に書き換える（/system/etc/gps.conf や隠しコマンドなど）方法や、また、アプリ「GPS Status＆Toolbox」を使ってGPSチップメーカー独自のAPIを叩いて A-GPS 情報を都度取得する方法、など、対策もあるにはあります。

ただし、SUPLサーバ名の書き換えに関しては、サーバー名以外の値がGPSチップのドライバにハードコードされていると見られる機種も存在し、一筋縄では行きません。

Ingress やポケモンGOなどの位置ゲーをそれなりにやり込んでいる僕にとっては、GPSがきちんと動くかどうかは死活問題と言えるのですが、手元の端末がたまたまコールドスタートからの測位が速い機種だったのか、ドコモ端末でも au端末でもSIMフリー機でも、MVNO 各社（IIJmio, mineo, 楽天モバイル, DTI）の SIM との組み合わせでは今のところ不満はない。というのが、正直な実感です。

ただし、ドコモのAndroid端末でコールドスタートからの測位が遅い機種では、理論上、測位に数分程度の時間がかかるケースも出てくるはずではあるので、運が悪いと、かなり不満が出るケースもあるだろうとは思います。

参考情報：

• IIJmio meeting 5 MVNOとGPSについて

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