last update 2016年9月21日 2:27

ドコモの大容量パケットパック「ウルトラパック」は、MVNO殺しの始まりかもしれない

Guillotine isolated on white, vintage engraving

このところ、携帯各社が相次いで大容量パケットプランを発表しましたが、中でも僕が特に気にしているのはドコモの大容量パケットパック「ウルトラパック」です。

1GB当たり単価で MVNO に迫る低価格、しかも「2台目プラス」対応、という破壊力。そんなドコモの大容量パケットパックの影響と、その活用のアイディアについて書いていきます。

1GBあたり単価がMVNO並。の衝撃

新パケットパック「ウルトラパック」でまず最初に驚くのは、データ通信量1GBあたりの単価でしょう。他社も同水準の料金設定ですのでそこだけで見れば優位性はありませんが、ギガバイト単価がついに250~320円の時代に突入した。というのは衝撃的と言わざるを得ません。

実際には、ここに基本料金やSPモード料金などが追加されますし、現在は無料のテザリングオプションも2018年以降は月額1,000円になる点を考えると、純粋に MVNO より安い、というわけではありません。しかし、とりあえずパケットパックの料金だけで見れば、MVNO の単価に近い料金設定になったとは言えるわけです。

3大キャリアのパケット料金の歴史を振り返ると、僕の記憶が確かなら、これまでは下げても1GBあたり700円前後まで。LTE 移行時の通信効率アップの恩恵も、料金面では消費者に還元せず、通信需要の増大を(高騰する端末代金への充当も含めて)売上増加へつなげようとしてきた。ここ10年の携帯業界のそんな潮目を変えるほどの大きな圧力が総務省方面からあったのか無かったのか、ホントのところは、まぁ、よく分からないわけですが、兎に角、そんな勘ぐりをしたくなるほどのパケット単価だ。ということです。

大容量パケットパックが「2台目プラス」対応、の衝撃

よく知られているとおり、ドコモには「2台目プラス」という割引サービスがあります。

これは、1台目と2台目を同一名義で契約する場合にのみ、1台目のパケットパックを2台目でデータシェア可能というプラン。例えば、1回線目で月額6,000円の「ウルトラデータLパック」を契約して、2回線目は「2台目プラス」で1回線目のデータパックの通信量をシェアすれば、2台で合計月20GBが通信できるわけです。

「2台目プラス」を使った場合の月額料金ですが、1回線目に基本料金プランとしてカケホーダイとSPモード契約が必要なほか、2回線目の基本料金プランにもデータプランとSPモード契約とシェアオプションが必要になるため、2台合計で月額1万は超える形にはなります。

MVNO で 20GB クラスの大容量プランを用意しているところは少ないですが、例えば、イオンモバイルの「シェア音声20GBプランで、音声SIM1枚+SMS付きデータSIM1枚+データSIM1枚の構成にすると月額6,420円、ここに「050かけ放題」を追加すると月額7,920円。また、SIM6枚まで発行可能ということでかなり外れた比較にはなりますが、IIJmio のファミリーシェアプラン(月10GB)を2本契約して、その内、音声SIMと SMS SIM を1枚ずつ入れ、音声SIMにのみ「誰とでも5分」通話定額オプションを付けた場合で月額7,070円となり、やはり MVNOの方が依然として安価。という計算にはなります。

しかし、MVNO SIM を使う場合は自前で SIM フリー端末などを購入する必要があり、ドコモの月々サポートのようなものはあまり期待できません。また、混雑時間帯の回線速度もドコモより遅くなるなど、回線品質の違いも小さくないものです。

MVNO を使っているユーザー、という段階で、恐らくは回線速度に関しては、ある一定以上でさえあればそこまでこだわらない人がほとんどとは思いますが、端末価格まで含めた実質料金がそこまで大きく変わらない、となると必ずしも MVNO に拘る必要はなくなってくるかもしれません。

「音声SIM+データSIMの2回線で月間合計20GB使いたいし、SMSも付けたいし、カケホーダイも1回線は欲しい。」というユーザーは結構いそうなので(※具体的な比率は多くはない、とのコメントをいただいています)、そういうユーザーが端末購入サポートや回線速度で劣る MVNO を選ぶ理由って、いつまで存在できるんだろう。と、多分、MVNO の中の人が心配し始める。ドコモの「ウルトラパック」はそんな衝撃的な存在じゃないか、と思うわけです。

「安さが売り」のMVNOの存在価値はどうなる

その一方で、音声回線を2回線にしたい、とか、もっと小容量のプランが欲しい、とか、安価なSIMフリー端末を売ってほしい、といった多様な要望には、現状のドコモはまだ応えていない状況です。

「音声SIM+データSIMの2回線、月間合計20GB、SMS付き、カケホーダイも1回線込み、フラッグシップ機」という特定の状況でだけ「どうしよっかなー」と考えさせられる。今はまだそれだけの状態といえば状態なわけで、ドコモとしても、いたずらに客単価を下げたいわけではないでしょうから、小~中容量ユーザーにも低単価のパケットパックをすぐに提供する、ということは考えにくいでしょう。

そう考えると、MVNO はキャリアがカバーしない幅広いニーズに応える、という方向に活路を見出すことになりそうです。

これは具体的には、通信容量が少ないユーザーや低スペック端末を使うユーザー、また、速度にはこだわらないが複数枚のSIM発行が必要なユーザー、大容量プランだが将来も安心してテザリングを使いたいユーザーなど、例を挙げ始めれば悲観に暮れる暇もない程です。引き続き多くのユーザーが MVNO を必要とするでしょう。

マルチキャリア対応SIMなどは MVNO ならではの興味深い取り組みですし、IIJmio が表明したフルMVNOなど、MVNO の幅を広げる動きもありますので、こういった動きにも注目していきたいところです。

DSDS(デュアルSIMデュアルスタンバイ)対応のSIMフリースマホや0SIMの利用価値が上がる?

話が逸れましたが、ドコモの大容量パケットパックを活かすためのいくつかのアイディアをここに並べておきます。

一つ目は、So-net の 0SIM です。

スマホ多台持ちで全部の端末にSIMを挿している人にありがちなのですが、よく確認すると実はほとんど3G/4G通信を使っていないSIMが中にはあったりします。そういう SIM は So-net の 0SIM にしておけば、有料 SIM の枚数を減らすことができるわけです。

0SIM は1人1枚しか発行できませんが、同一世帯内でも家族名義なら複数枚申し込みできるのもポイント。これで、ドコモの「ウルトラパック」+「2台目プラス」でSIMが2枚しか発行されない問題が解決できます。

二つ目は、DSDS(デュアルSIMデュアルスタンバイ)対応のSIMフリースマホの活用です。

ドコモの「2台目プラス」は、2台目が必ずデータプランになります。データSIMでは当然、音声通話は使えませんが、別途 MVNO の音声通話SIMやキャリアのカケホーダイSIMなどを用意して、DSDS(デュアルSIMデュアルスタンバイ)対応のSIMフリースマホにデータSIM+音声通話SIMの2枚挿ししてやれば、2台目でも音声通話が使いやすくなります。

この場合、ドコモ端末でDSDS対応の機種は現状存在していないので、DSDS機種を別途購入する必要がありますが、例えばドコモ端末を売却したお金でそういう端末を買う。というのは、プランとしては考えられるでしょう。

これまではデュアルSIM端末とは言っても、国内では日常的にSIMを切り替えて使うには難があったり、待ち受けに問題があったため、こういう解決策は実用面で無理がありましたが、国内でもDSDSが普及してくると、通信プランの選定の幅もかなり広がってきそうです。

 

今回のドコモの大容量パケットパックは、ある特定属性のユーザーにとっては MVNO から乗り換えたくなるかもしれないプラン。という程度の評価ですが、この2つのアイディアで、そう思えるユーザーの幅が少しは増えるかもしれない。そんな気もしています。

というか、そうでなくても、ここ最近 MVNO をメイン回線として使ってた人だって、そろそろドコモ回線のあの速さが恋しくなる頃じゃありませんかね?

この記事への3件のコメントがあります

  1. まっくす says:

    1年前

    「音声SIM+データSIMの2回線で月間合計20GB使いたいし、SMSも付けたいし、カケホーダイも1回線は欲しい。」というユーザーは結構いそうなので

    こんなヘビーユーザーは全体の5%未満だと・・・。
    6割以上が3-4GBあれば十分。
    それを見越して20GB以上なら大幅な値引きに応じるとなったんだと思います。

  2. 名無し says:

    1年前

    デュアルSIM端末って技適マークあるのかなー?f(^_^)
    現状、海外端末ぐらいしかないと思ったが…

  3. ひろも says:

    1年前

    国内で正規販売されているDSDS対応のデュアルSIM端末には、ASUS ZenFone 3 / Motolora Moto G4 Plus / FREETEL SAMURAI 極み2 などがあります。
    これらは技適通過済みの機種であり、このような機種は今後も増える見込みとなっています。
    厳密には、これまでもデュアルSIM端末は大量に技適を通過済みでしたが、片方のSIMスロットが国内ではサービス終了した2G専用であったり、3G+4GのデュアルSIM対応でもDSDS対応でない機種ばかりでした。
    このような情勢がこの夏頃から変化を見せてきた。という事で本稿の当該部分の執筆に至った経緯がございます。

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