last update 2018年6月28日 15:31

譲り合う人同士での意思決定には「1票以内の実数投票」システムが上手く機能するという実験

Choosing the right one

僕ら夫婦は、良く言えば思いやりがあり、互いにユアペースとも言えるのですが、悪く言えば責任を取りたくない、逃げ腰、及び腰、小賢しい者同士でもあったりします。

そういう人間同士の間では、往々にして意思決定がスムーズに回らない。お店で1枚新しい皿を買うにしても、とかく意見がまとまらないわけです。

仮にまとまったとしても、後で「あなたが好きだと思ったから買った。私は少しも欲しくなかった」などと言い出し始めることが非常に多く、2人の総意で意思決定したにも関わらず、口喧嘩に発展、時間と金を浪費しがちでした。

そんな状況が繰り返されることを問題に思った僕は、これではいかん、と、意思決定の精度と生産性を上げるべく試行錯誤。その結果、辿り着いたのが今回紹介する「1票以内の実数投票」システムです。

思いのほかうまく機能している投票システムなので、同じ境遇で困っている人々のために、情報を共有しておきます。

「1票以内の実数投票」システムとは?

「1票以内の実数投票」システムというのは、基本的には多数決投票です。

ただし、お互い1票の持ち票の中から実数票を投票でき、2人の投票数の合計が1票を越えた場合のみその案を通す、という点が通常と異なります。

簡単に言うとこういうことです。

  • Aさん0.5票+Bさん0.5票 → 計1票
    → OK
  • Aさん0.8票+Bさん0.1票 → 計0.9票
    → NG
  • Aさん0票+Bさん1票 → 計1票
    → OK

例えば、1人では食べきれない量が入った袋菓子を買うかどうか決めるとします。2人の持ち票はそれぞれ1票で、2人共がそれぞれ0.5票づつ入れました。この場合の総得票数は計1票となりますから、基準に照らし合わせ、計1票以上なので購入、という判断になるわけです。

また、例えば、新しいオシャレなゴミ箱を購入する場合、片方が0.4票を入れ、もう片方が0.55票を入れたとします。その場合、計0.95票だから購入しない。という感じで決定されます。

とりあえず、今の我が家ではこれがとてもうまく回っていて心地がいい状態。

特に、余分なものを買うか買わないかの判断に便利で、下らない不要品を買ってしまう頻度が激減しましたし、衝突もほとんど起きなくなり時間効率も改善されました。

何らかの理由で整数点を投じたくない人がいる

ここに辿り着くまでには紆余曲折がありました。

実は当初は、10点満点で何点?とか、5点満点で何点?という聞き方をしていたのですが、それだと何故だかうまく回らない。相手の事を考えて点を操作するマインドが入っちゃうし、何より、なぜだか後で揉めることがある。

この辺りのマインドは良く分からないのだけども、恐らくは、控えめな人間の視点だと、1よりも少ない数であれば自分の思いを反映させても良いかな?と思わせるXファクターがあるのではないか、というのが僕の見立てで。

大きな数字の票を投じないことで自らの慎み深さを他人から評価されたいタイプの人間であっても、1票以下であれば、謹んで投票してくれる。また、この方法だとどういうわけだか積極性のなさという問題も回避しやすく、責任割合も明確になりやすい。そのあたりを発見した事がこの投票システムの新規性であろうとは思われます。

僕のような人間からすれば、票数や点数の見かけ上のスカラー量によって判断が左右される事はないわけで、あくまでも判断とは相対的なバランスによるものであると心得ていますから、単位を変えることで相手の意思がより正確に観測可能になるのであれば、それは互いに WIN-WIN と言えるよね。いい事しか無いよね。となるわけです。

自分の意見を言わない人の腹の中を探るのに「1以下の実数票」が有効、というのは、まだ汎化されたものではありません。あくまでも、我が家の中でしか試していないものにはなります。でもなんとなく、少なくとも日本においては一定数、こういうロジックが必要な人がいそうな気がして仕方ないのです。

「譲り合う、慎み深い頑固者」同士の意思決定は超大変

あまり内情をおっぴろげにするのは好みではありませんが、ここに至るまでの背景として、僕も嫁も少々特殊な人間である。かもしれない。という話にも触れておきましょう。

まず、我が嫁は、自らの意思を他人に伝えることに関して不自由のある人間です。 (誤解の無いように言っておくと、病名が付く障碍があるわけではありませんが)

具体的に言えば、会話の5~6割において主述や係り受けがめちゃくちゃ。話し始めと最後の2~4音節は8割の確率で省略され、聞き直しても2~3割は謎のままである。甲乙の単語を入れ違えたまま話すことも1割はあり、これらのコンビネーションにより、結局、何を言っているのか理解できずに会話が終わることが控えめに見ても3割はある人だ。

厄介なのは、その上、オブラートに包み過ぎて中身が見えなくなるような日本的おもてなし話法に傾倒している点。よく、昭和時代の日本人が米国人から「何を言っているのか、何を考えているのか、全く分からない」と評されていたわけですが、それを地で行っている。

そういった会話の中から、相手への思いやりで譲っている部分と、自分の意思とを区別して汲み取ることは困難で、とてもじゃないが信頼性を確保できない。というのが僕が達した結論でありスタートラインでもありました。

 

ついでなんで僕のことも書いておきましょうか。僕は自分の立場に関係なく、言いたいことを危ないくらいズバっと言う人間。会話の中に存在する全てのオブラートをぶち破る物言いはあらゆる場所で悪評を呼んでおり、それが過ぎるがために、普通の日本人から見たらかなり厄介な存在です。

過去を振り返っても、データ量に応じて演算量が級数的に増加するプログラムを書いて重篤な不具合を出した別会社の子に(僕の案件じゃないのになぜか呼ばれて原因究明させられたわけだが)「〇〇君は計算機資源が無限にあると考えているんだね」と淡々と指摘をしたら、その子が「向いていない」と辞めてしまったことがある。一時が万事、そういう物言い。

ただ、例えば先の嫁や子のように人を評したからといって、別段、その人の事を憎んでいるわけではないし、そもそも、過剰にも控えめにも評しはしない。あと、間違っていれば謝るのも早い。ただ、そのせいで、論述がブレているように見られることがなくもない。

最近は年の功で、こういう人間は気を遣わせがちであることを知りつつあるとはいえ、基本的な部分は今でも変わっていません。

ということで、ある意味、うちの嫁とは最悪な組み合わせなのかもしれないなー、とは思ってたりするわけで。

 

そんなこんなで、パートナーとの言語を通じた意思決定を7割がた諦めた僕なわけですが、それでも、現実的に可能な生産性の範疇で相手の意思を拾い上げたい。そういう思いで考えた仕組みが、今回の「1票以内の実数投票」システムだった、ということなのです。

運用上の必要になる条件とコツ

「1票以内の実数投票」システムが正しく機能するには、2人共が以下をような特性を持っていると良いのではないかと思います。

  • 責任回避型、かつ、理想が高く、自分の責任で丸々1票は滅多に投票しない
  • 点の付け方が渋い。ドケチ文化(特に買い物に関して)
  • 0点はこれっぽっちも欲しくない時以外付けない。欲しさのスケールを評価する
  • 割合の概念を持っていて、投票に対して投票割合くらいの責任は感じられる
  • この意思決定システムとは別に、家計の情報は共有する

ちなみに、大きくて取り返しの付かない買い物の際は、どちらか片方が最低でも0.8票以上は入れること、というように、重要度に合わせてルールを一時的に変えるのも有効と思います。

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