1つのWi-Fi SSIDで家じゅうカバー、複数基地局の「ローミング」が便利

last update 2022年11月18日 23:15

「Wi-Fi の電波が届かない!電波が弱い!」という時、あなたならどうしますか?

真っ先に思いつくのは、このあたりかと思います。

  • 電波が良く飛ぶ高級 Wi-Fi ルーターに買い替える
  • メッシュ Wi-Fi を買う
  • 中継器で Wi-Fi エリアを拡大

が、この他にも意外と知られていない方法として、

  • 同じ SSID の無線LAN基地局を複数設置して、Wi-Fi エリアを大きく広げる(ローミング)

という方法があるので、紹介しておきます。

自宅のWi-Fiエリアの「穴」を塞ぐ

リモートワーク・スマートホーム・IoT 家電の普及により、近年、自宅の Wi-Fi エリア整備の重要度が増しています。

しかし、電波改善のために中継器やメッシュ Wi-Fi を導入したは良いものの通信速度が大きく落ちたり、また、安価になったとはいえ家中全てを Wi-Fi メッシュネットワーク対応機器に買い替えるなるとコストが高くつく、などの問題もあります。

今回はそんな場合の解決策として、

  • 無線LAN基地局を追加・増設して、今使っている Wi-Fi と同じ SSID・パスワードを設定する

という方法が意外とコスパが高いので、紹介しておきます。

同一設定のWi-Fi基地局を追加する

無線LAN基地局を2台設置する場合、通常、こんな感じで別々のSSIDとパスワードを設定しますが、

実は、複数の Wi-Fi 基地局に全く同じ SSID・パスワードを設定しても正しく動作します。これを「ローミング」と呼びます。

ローミング利用時、無線LAN基地局間で特別な連携設定は必要ありません。

以下の点に気を付ければ、すぐに Wi-Fi エリアを拡大できるのが「ローミング」の利点です。

  • ローミングする全 Wi-Fi 基地局に、同じSSID / パスワードを設定する。
  • Wi-Fi 基地局ごとに異なるチャネルを利用する。(チャネルを「自動」にすると便利)
  • 家庭向け Wi-Fi ルーター(WAN/LAN ルーター)の場合、多段ルーターにならないよう、インターネットに直接接続している1台以外の無線LANルーターはブリッジモードにする

Wi-Fi ローミングでは、端末移動時の基地局切り替えは自動で行われます。ユーザーが意識する必要はありません。

このため、純粋に Wi-Fi のエリアが広がった、電波が改善したように感じるわけです。

Wi-Fi ローミングは携帯電話のハンドオーバーほど洗練された仕組みではありませんが、家庭のネット利用程度であれば、実用上、困るケースはほとんどありません。

基地局のメーカーを揃える必要なし

Wi-Fi ローミングでは、無線LAN基地局のメーカー・ベンダーを統一する必要はありません。

メッシュ Wi-Fi でも「EasyMesh」対応なら各社製品を混在できますが、ベンダー独自の機能をどこまで使えるか、という部分で差が出る可能性はあります。

その点、Wi-Fi ローミングは「必要な場所に必要な機種を設置すれば良い」だけなので、悩む要素が少なくて済みます。

暗号化方式などの設定を揃える必要有り

「Wi-Fi ローミング」の安定運用には、基地局の暗号化方式などの細かな設定を合わせておく事が大変重要です。

例えば、Wi-Fi 基地局の暗号化設定が1台だけ「TKIP」になっていれば、「AES」にしか対応していない端末はつながりませんから、そこに Wi-Fi エリアの穴ができてしまいます。

この他にも様々な要因があるため、ローミング運用する無線LAN基地局の設定は極力合わせておくのがトラブル回避のコツです。

ただし、チャネルは各基地局ごとに別にしておくべきです。

2.4GHz帯のチャンネルは1・6・11chから選ぶ

前項で「ローミング基地局同士のチャネルは分けるべき」、と書きましたが、混雑している2.4GHz帯ではどのチャネルを選択するのが良いのでしょうか。

答えは、 2.4GHz帯 Wi-Fi のチャネルは、1・6・11ch の3つから選択するのが良いとされています。

厳密な理由はかなり長くなるため、興味がある方は別途調べていただくの良いですが、要約すると、

  1. 市場に出回っている端末が12・13・14chに非対応なケースが多いこと
  2. 1~11ch ではチャネル番号を5以上離すのがセオリーであること
  3. 干渉時の挙動を考えると、同チャネルで干渉させた方が通信速度の面で有利であるか、少なくとも数チャンネル被りのケースとほとんど同じ結果が得られること

といった理由から、消去法的に 1~11ch の中でも先の3つにチャンネル(1・6・11ch)に絞られる格好になります。

2.4GHz 帯のように逼迫している帯域の場合、基地局側のチャネル設定を「自動」にすると同じチャネルが選択されたり、先の3つのチャンネル以外が選択される場合があるので注意しましょう。

ちなみに、我が家の 2.4 GHz 帯 Wi-Fi ローミングでは、帯域幅は 20MHz、チャネルは1・6・11の固定運用、「Wi-Fi アジャイルマルチバンド」は OFF。この設定で安定運用できています。

余談ですが、「3」に関しては 5GHz 帯でも同じことが言えます。こちらはチャネルを「自動」にしてもキリの良いチャネルを選択してくれる場合が多いですが、チャネル固定で運用する場合は意識しておくと良いでしょう。

「ローミングアシスト」の設定に注意

この他、Wi-Fi 基地局の「ローミングアシスト」機能も、適切に設定されていないと通信障害の原因となる場合があります。

「ローミングアシスト」とは、Wi-Fi の電界強度が指定値より弱い場合、別の基地局への切り替えを促す機能です。

例えば、Wi-Fi 基地局のうち1台だけ「ローミングアシスト」が ON になっている場合、そこの Wi-Fi だけが切れやすくなるため、相対的に他の弱い Wi-Fi 接続が粘るせいで通信が不安定になる(パケットが通らないことがある)、という障害が出る場合があります。

個人的には「Wi-Fi ローミング」を使う場合、基地局側の「ローミングアシスト」機能は全てオフにした方が、安定運用しやすいと思います。

「メッシュWi-Fi」より「ローミング」が不利な点もある

メッシュ Wi-Fi には、一部機器に障害が発生しても、残った機器でネットワークを維持できる「自己修復性」があります。(十分な台数の基地局があればですが)

その点、今回紹介した「Wi-Fi ローミング」では、トラブル時の原因調査が複雑になりやすく、障害発生時には、まずは基地局の設定が揃っているかを確認し、それ以上の部分は Wi-Fi に詳しくない一般の方だと原因究明ができないケースに陥りやすいかもしれません。

また、メッシュ Wi-Fi や Wi-Fi 中継機と異なり、各無線LAN基地局に有線LANを引きたくなる、という点も、環境によってはネックとなるかもしれません。

メッシュとローミングは、自分のスキルや適材適所で使い分けると良いでしょう。

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