【DaVinci Resolve】LUTを使わずカラースペース変換する(S-Log3)

last update 2021年8月20日 3:57

ソニーのLog撮影「S-Log3」絡みのノウハウが溜まってきたのでまとめ。

S-Log3 で撮影した動画には 3D LUT を当てる以外にも、DaVinci Resolve の「カラースペース変換」を当てるという選択肢があります。

ということで今回は、S-Log3 で撮影した素材を Rec.709 へカラースペース変換する方法をまとめておきます。

S-Gamut3?Cine?撮影はどちらの色域?

まずは撮影時の色域の話から。

ガンマカーブ「S-Log3」は、「S-Gamut3」「S-Gamut3.Cine」のいずれかのカラースペースとセットで使われる事が多いです。

どちらを使うか迷う場合は、最終出力の色域によって選ぶのが良いでしょう。

  • Rec.709 → S-Gamut3.Cine
  • Rec.2020 → S-Gamut3

それぞれ、色域の形状が良く似ている、というのがその理由になります。

S-Log3で撮影した動画をカラースペース変換する

DaVinci Resolve では様々な場面で色域変換が可能です。

具体的は、Fusion やカラーサイエンスでの色域変換もできるのですが、今回の用途では、カラーページの「カラースペース変換」を使うのがオススメの方法となります。

1.カラーページでカラースペース変換する

まずはオススメの「カラーページでのカラースペース変換」から説明します。

ここでは、プロジェクト設定のタイムラインカラースペースが「Rec.709 Gamma 2.4」である前提とします。

カラーページでノードを作り、OpenFX の「カラースペース変換」を追加。以下の内容に設定します。

  • 入力カラースペース:Sony S-Gamut3.Cine(※撮影時の色域)
  • 入力ガンマ:Sony S-Log3(※撮影時のガンマ)
  • 出力カラースペース:タイムライン
  • 出力ガンマ:タイムライン

また、以下も調整しておきます。

  • 「トーンマッピング」内の
    トーンマッピング方法:Simple・輝度マッピング・Saturation Preservingのどれか
  • 「色域マッピング」内の
    色域マッピング方法:彩度マッピング
    彩度のしきい値:自分で調整(Knee。目安として0.8~0.95くらい)
    彩度 最大値:自分で調整(目安として1~1.15)

あとは、スコープなんかも確認しつつ、色域マッピングの値やカラーホイールでグレーディングすればOKです。

2.カラーサイエンスでカラースペース変換する

また、「プロジェクト設定」のカラーサイエンスで、プロジェクト単位でまとめてカラースペース変換を行うこともできます。

例として、Rec.709 出力時の「プロジェクト設定」→「カラーマネジメント」の設定はこんな感じになります。

  • カラーサイエンス:DaVinci YRGB Color Managed
  • 入力カラースペース:バイパス
  • タイムラインカラースペース:S-Gamut3.Cine/S-Log3
  • 出力カラースペース:Rec.709 Gamma 2.4

また、マッピング周りの設定も入れておきます。

  • 「トーンマッピング」内の
    トーンマッピング方法:Simple・輝度マッピング・Saturation Preservingのどれか
  • 「色域マッピング」内の
    色域マッピング方法:彩度マッピング
    彩度のしきい値:自分で調整(Knee。目安として0.8~0.95くらい)
    彩度 最大値:自分で調整(目安として1~1.15)

この場合、カラーページでのカラースペース変換は、基本的には必要ありません。

3.2段階でカラースペース変換を行う

複数色域の素材が混在している場合や、ワークフローによっては、「1」「2」を組み合わせるケースもあるかもしれません。その場合、各段での色域の違い・クリップなどに注意する必要があります。

なお、各素材の色域が異なる場合、カラーページのメディアプール → 各メディアを右クリック →「入力カラースペース」からそれぞれ指定できるので、活用すると良いでしょう。

カラーサイエンスに関しては、Cineon や Rec.2020 Gamma 2.4 を使ったり、また、WEB向けでは Rec.709 とするケースもあるでしょう。このあたりはグレーディングのしやすさなども考慮の上でワークフローを整備する形となります。

出力カラースペースも、HDR10(PQ) なら Rec.2100 ST2084、HLG なら Rec.2100 HLG など様々です。

S-Log3 には実務上、ノイズ対策でオーバー気味に撮影したデータの露出補正や、高輝度部分の彩度再現などの技術的なハードルがあります。扱いが難しい方には、個人的には露出補正から色域変換までのフローのみ、DaVinci Resolve ではなくソニー純正の動画ファイル管理ソフト「Catalyst Browse」の活用をオススメしたいところです。

S-Log3 が使えるようになれば、明暗差が激しいけど白飛びさせたくないシーンや、微妙な色表現などで、強力な武器となることは間違いありません。

逆に、コントラストの難易度が低く、カット編集くらいしかしないのであれば、Log 撮影でなく直接 Rec.709 などで収録した方が、ポストプロダクションの行程を簡略化できるでしょう。

ということで、ライトユースでも適材適所で Log 撮影を活用すると良いのではないでしょうか。

なお、素材ごとに入力を指定するには、カラーサイエンスが「DaVinci YRGB Color Managed」なら各クリップを右クリック→「入力カラースペース」で、また、ACESなら「ACE入力トランスフォーム」を指定できます。

参考資料:

この記事へのコメント(2件)

  1. yuji says:

    12ヶ月前

    とっても勉強になりました。
    今ひとつわからないのですが、s-logをRCMで色域変換をするならばキャリブレートされたディスプレイが必要でしょうか。あればより正確に確認できるということ?(編集用のノートPC一台しか持ってないのですがそのディスプレイをキャリブレーションする?専用の外部モニターが必須?)。
    あと、youtube用の動画などでも出力はREC709を選ぶ人が多いのはなぜでしょうか?普通人がyoutubeを観るのはノートPCかスマホが多いのでsRGBを選ぶのかなと思ったのですが、、
    厚かましいですが少しでも教えていただけたら幸いです。

  2. ひろも(hiromo) says:

    11ヶ月前

    カラーマネジメントディスプレイの利用は、S-Log、RCMとは無関係に恩恵があるとの認識です。
    また、Rec.709で出力する人が多いのは、恐らくはそれがYouTube SDR動画の仕様に近い、と各個人が判断している事の積み上げと推測致します。

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