【2021年】新年のご挨拶と動画撮影・編集の未来

 last update 2021年1月23日

新年あけましておめでとうございます。2021年も当サイトをどうぞ宜しくお願い致します。

さて、昨年の管理人は動画系の技術方面に興味が向いていたこともあり、カメラやレンズ、周辺機器などの機材を買い揃えたり、横のつながりから様々なノウハウを吸収する機会が数多くありました。

そんな中、動画界隈の向かう未来が少し見えてきた気がしておりますので、徒然に書かせていただきます。

ネット動画メディアの大衆化

去る2020年は、ネット動画メディアが一気に大衆化した年だったように思います。

それは、動画制作サイドに大量の素人が参入してきた、というだけでなく、視聴側の幅広い方々が、余暇を過ごす標準的な手段の1つとして "ネット動画の視聴" を捉えるようになった、という意味合いでもあります。

ここ数年、街で人が顔を合わせて動画チャンネルの情報交換をすることは珍しくなくなりましたが、2020年は、40代以下であれば皆が知っていてちゃんとその話で盛り上がれるチャンネルが増えた年のようにも感じますし、また、家庭内でも有名 YouTuber の重大発表のライブ配信開始に合わせて子供が予定を空ける、といったことが普通に許容されるようになった年だったとも感じます。(親として思う所がありはすれども)

2016年、Amazon プライムビデオで松本人志さん発案の "ドキュメンタル" という作品が公開された際は「テレビで有名なあの芸人さんが、ネット動画に出てる!」という驚きがあったことを今でも良く覚えていますが、昨年公開された "ドキュメンタル8" ではもはやそのような驚きは消え失せ、むしろ、"ネット動画に有名芸人が出る" という凄みが逆に古臭さを感じさせてしまう程度には、時代は変わってしまったのです。

僕はもう長い間、年にテレビを10時間見るかも怪しい位にはネットコンテンツに傾倒してきた人間ですが、そんな僕視点でも、2020年は「動画コンテンツの主力がテレビからネットに移った年だった」と感じるし、今の子供は、この感覚を当たり前のものとして育っていくのだろうと、強く感じます。

迷惑系動画クリエイターとレギュレーションの整備

一方、制作側視点から見ると、昨年は、整備が遅れていたレギュレーションや倫理面のコンセンサスが整った年であったようにも感じています。

昨年は、"迷惑系YouTuber" と呼ばれる存在が世を賑わせた年でもありました。

コンテンツ創出力のない人間が、コンテンツ制作の代替手段として他人に迷惑行為を行ったり、その際、加害者でなく被害者側が悪いと感じさせるような発言・行為を行うことで、自己の正当化・知名度・求心力を集める手法は以前から存在していました。私もこの数年、そのような行為による被害を受けてきましたが、そういった行為が明確な悪であり、法的にもしっかりと裁かれる対象として認知されるようになった、というのは、今後、まっとうなクリエイター達が安心して活動できる下地となることでしょう。

これは、言い方を変えれば、「自分が凄い存在でありたいなら、自分自身が凄くならなければならない」というクリエイターの原則が問われる、まさに、実力の時代になったとも言えるわけです。

この件の影には、多くの被害者と、尽力された方々がいます。

一部の SNS が悪意の増幅装置と化してはや数年。もともとネット広告業界は、綺麗で信頼できるところに高単価の案件が集まる傾向がありましたが、近年、その傾向に拍車がかかっています。

実は、YouTube には SNS としての側面が強くあるわけですが、そういう部分でも2020年後半の YouTube は、安心して作品をアップできるプラットフォームになった、と感じています。この部分は、製作者にコンテンツ公開を躊躇わせない、という意味において、コンテンツ流通量を増やす一助となることでしょう。また、後述の撮影・編集機材の簡素化も相まって、動画メディアは今以上にテキスト主体の SNS からアイボールシェアを奪う存在となるのではないか、というのが管理人の思うところです。

短文投稿系サービスが無くなったり、現在より統計上の勢力が衰えるとはあまり思ってはいませんが、現在でも先進的なユーザーは不用品をヤフオクでもメルカリでもなく、Amazon のマケプレに出品しているように、クリエイティビティを持つ人は、よりクリエイティブさが発揮できる舞台へとチャレンジし、また、旧来のクリエイター達はド正面からその実力を試されるようになるだろう、と考えるわけです。

いずれにせよ、健全化・レギュレーションは、ならず者でないまっとうなクリエイターを集めるのに絶対必要な条件です。そして、2020年は YouTube がそれを多少なりとも整備できた年であったように思うわけです。

撮影・編集機材の簡素化

僕が、相当な金額の撮影・編集機材を購入して驚いたのは、カメラメーカーが置かれている窮状です。

これまで、iPhone や Android スマートフォンは、音楽プレイヤーや DVD など、様々な分野の専用製品を駆逐してきました。

スマホがコンデジ市場を崩壊させてからもう随分経ちましたが、僕には、今、APS-C カメラや動画撮影できるフルサイズミラーレス一眼までもが岐路に立たされているのではないか、と思えて仕方ありません。ひょっとすると本体にせよレンズにせよ、6・7年後くらいには有名メーカーが撤退、などという話も出てきているかも。そんな心配が拭えない状況だと思います。

ここ数年、スマホの動画撮影機能は劇的な進化を遂げました。かつて、Galaxy S8 Note に搭載された手ブレ補正機能に驚いたのも今は昔。昨秋に発売された iPhone 12 Pro Max では、光量さえあればかなり手ブレの少ない映像が普通に撮影できるようになりましたし、Galaxy / iPhone 系の HDR 撮影もそこそこ使えるレベルだったりします。そして、カメラ専用機の強みであったボケ味すらも、ここ数年で多少は表現できるスマホが増えてしまいました。

スマホが苦手とする暗所での手ブレ補正も、スマホ用ジンバルやポストプロダクションでのノイズ除去処理により、まずまずの手当てができるようになった印象です。

こういった要素もあり、すでに、映像クオリティに特段のこだわりが必要とされないジャンルであれば、スマホで撮影しても全く問題ないシチュエーションは少なくないし、予算が限られているならば、もはやカメラよりも照明・セット・マイクにお金を掛けたほうが良い作品に仕上がる状況だと思います。

幅広い知識・機材が必要なグレーディングなどの処理も、アプリのフィルターを使えば習得コストが低く済み、むしろ、ライティングなどトータルでの生産性は高まるかもしれず。もちろん、作品のクオリティに差は出ましょうが、少なくとも、そういう領域は普通に存在している状況にはなったなぁ、と感じるところではあります。

もちろん、映像表現の世界は奥深く、画角による歪みの出し方や大きなセンサーサイズを生かした感度、背景整理できるレベルのボケ味、言葉にしづらいレンズごとの表現の違いなど、こだわりどころはあるわけですが、正直なところ、YouTube 視聴者の大多数がそれを求めているか、と言えば、僕は疑わしいと思っているし、また、それで投資対効果が得られるケースも少ないのではないか、と思えて仕方ないわけです。

さらに最近は、VLLO などの習得コストが低い動画編集アプリでも、わりと簡単にそこそこの編集ができるようになった事もかなり大きな要素でして。結果、大したスキル・機材が無い人でも、スマホ1台で撮影から編集まですべて完結できるようになり、ライトユーザーの参入コストはこれまでになく低くなったように感じます。

動画撮影・制作のハードルの低さと、動画プラットフォームが SNS の側面を強めつつあること、そして、クリエイターが安心してその SNS 機能を使えるようになったこと。これら3つは、今後、ネットにおけるソーシャルグラフの形に何らかの影響を与えていくような気がして気がして。え、収益化?どうせ今でも Twitter で呟いたからって収益なんて還元されていないでしょ?

買うばかり、撮るばかり、で、さっぱりアウトプットしない管理人ではありますが、金と時間を色々と掛ける中でそんな景色が見えているんだよ、ってことで、新年のご挨拶に替えさせてもらおうかと。え?無理があるって?やっぱりそうですか(苦笑)

ではでは、今年もどうぞよろしくお願いします。

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