ソニーの「VLOGCAM ZV-E10」は2Kや60p撮影したい人にはお薦めできない。という話

 last update 2021年9月3日

ソニーから 2021年9月17日に発売予定の「VLOGCAM ZV-E10」ですが、個人的には 2K(FullHD)や 60fps で撮影したい人にはオススメできません。

この記事では、その理由について簡単にまとめておきます。

ソニーのAPS-C機を触り倒してきた立場からの意見

僕のメイン機はソニーの「α7S III」ですが、APS-C 機「α6300」も今でも所有しています。

α6300 は(作品としてはほとんどアウトプットしてきませんでしたが)僕のミラーレス一眼による動画撮影スキルのステップアップのきっかけとなってくれたカメラで、α7S III への乗り換え前にはかなり使い倒しました。

そのため、ソニーの APS-C 機の、特に動画撮影の特性については良く分かっているつもりです。

そんな僕が実機を触った結果、「ZV-E10」の動画撮影性能に関しては α6000 シリーズと極めてよく似た素性を持っている、との感触をつかんでいます。

様々なモードで実際に撮影した結果、僕が「もにょる」ポイントも α6300 とほぼ同じだったため、このカメラが適さない用途、こんな使い方を期待して買ってはいけない、という注意点をまとめておきます。

解像感のある2K映像や60pを求めるなら「ZV-E10」はやめておけ

まず1番大きい点として、このカメラでは XAVC S HD、つまり、1920 x 1080(2K)動画撮影時の解像感はかなり落ちる、という部分を指摘させていただきます。

センセーショナルな書き方が許されるなら、十分な光量のあるシーンで iPhone 12 Pro と ZV-E10 とを比較した場合、ほとんどのケースで iPhone の方が解像感だけは稼げる、という表現をしたくなるほどです。

これは、「ZV-E10」のキットレンズの性能うんぬんの問題ではなく、センサーからの情報をどのように間引き、畳み込んで画作りするか、という内部仕様に起因するものです。

もちろん、スマホのカメラに比べれば「ZV-E10」の方がセンサーサイズの大きさ、というアドバンテージがあるため、ダイナミックレンジの広さや暗所性能の高さといった利点は享受できるでしょう。

しかし、単純な解像感だけなら「ZV-E10」の 2K は全画素読出しではなく、しかもクセがある仕様のため、解像感を重視する方には僕はオススメできません。

この現象は α6300 / 6400 / 6600 の3機種でも見られたものですが、「ZV-E10」でも同じ現象が確認できたため、非常に似た特性・制約を抱えているのではないか、との見解です。

具体的に「ZV-E10」が苦手とするシーンですが、2K 動画では細かな文字が潰れてしまいがちになります。また、彩度・色相差が斜めに配置される構図では、解像度、およびクロマサンプリング仕様からの想定を超えるジャギーが目立つ場合があります。

2K 撮影時、そういった現象に我慢ならない、という方には、僕は α6300 / 6400 / 6600 同様、ZV-E10 もオススメしないわけです。

ただし、これらの事象が発生するのは 2K 動画撮影時のみですから、4K 撮影を前提とするなら、気にする必要のない問題でもあります。

ただし「ZV-E10」では 4K 撮影時、フレームレート 24fps または 30fps での撮影となり、60p には非対応です。

これはつまり、60fps で撮影したいなら解像感のある全画素読出しでの動画撮影は諦める必要がある、ということと同義となります。

4K30p・4K24pでの撮影を前提とするなら十分な解像感

「ZV-E10」は、今どきにしてはかなり攻めた安価な価格設定であるため、欠点を数えあげるよりも「使えるシチュエーションを楽しむ」観点で買った方がハッピーな機種です。

とはいえ、とりあえず「これを買ったらアレもコレも出来る!」と夢見る人の中には、60fps 撮影は譲れない、という人や、また、2K 撮影時「スマホの方が解像感あることない?」とガッカリされる方もいるかもしれない状況です。

ということで、今回、どう考えても不向きな用途を2つだけ指摘させていただきました。

逆に言えば、この2点が許容でき、4K24p / 4K30p で撮影すると決めている方であれば、ここで指摘した症状は出ないわけですから、購入を止める理由はありません。

解像感を求めるユーザーさんは、「このカメラを選ぶ時点で 60p での撮影は諦める」という点を重々理解した上で購入されることをオススメしておきます。

公式サイト:

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