エッジAIで顔追尾が凄い!ジンバル搭載WEBカメラ「AICOCO Smart Live Streamcam(2K)」レビュー

 last update 2022年9月20日

AICOCO のジンバル搭載オートフレーミング WEB カメラ「Smart Live Streamcam(2K)」が大変面白かったので、2~3ヶ月ほど使った感想を軽くレビューしておきます。

AI で人物を検出し、内蔵ジンバルがカメラの向きを上下左右に調整。自動でフレームインしてくれるという、ちょっと変わった WEB カメラです。

WEB会議はもちろん、オンラインレッスンで部屋を歩き回ってもかなりの精度で追尾してくれる、ということでワンオペ配信にはかなり便利なこちらの製品。ゲーム配信中の顔ワイプなどにも応用できそうです。

ソフトウェアクロップによるオートフレーミング機能や、スマホ用ジンバルのソフトによる顔認識とは一線を画する反応速度と滑らかさが強みで、話題の「エッジAI」の威力を楽しめる、大変興味深い製品に仕上がっています。

「AICOCO Smart Live Streamcam(2K)」の特徴

「AICOCO Smart Live Streamcam(2K)」の特徴はこんな感じ。

  • ドライバ不要(UVC/UAC 規格に対応)
  • 専用アプリ不要で対応OSが幅広い(Windows 7 以上。Ubuntu、macOS、Android 9.0 以上)
  • ハンドジェスチャーでの操作(ズーム、追尾ON・OFFなど)
  • 自動顔追尾が高速&動作も滑らか
  • 顔だけでなく、顔を隠した人間もがんばって追尾
  • 追尾範囲は左右各90°(計180°)、上下各21°(計42°)を物理追尾
  • 画角はかなり広い

主な仕様は公式サイトでも確認できますが、

取扱説明書の仕様表も載せておくとこんな感じ。

ポイントはこんなところ。

  • CPU:SV823(ARM Dual Cortex with DVFS@1.5G)
  • 解像度:最大2560 x 1440
  • 最大追尾速度:毎秒120度
  • マイク:5mまでの距離の音を拾える
  • 端子:USB-C 対応

顔出しNGってわけでもないのですが、管理人は当サイト内では顔を出さない方針でやってますので、サンプル画像はなしで、実際に使ってみた感想を中心に解説していきます。

「AICOCO Smart Live Streamcam(2K)」レビュー

まずは「AICOCO Smart Live Streamcam(2K)」の機能・使い方を写真で解説していきます。

取説によると、取り付け方はこんな感じ。

底面が開く構造となっており、

設置はディスプレイの縁に挟む形です。

USB-C 端子は台座部分の向かって右側に配置。左の赤いランプはトラッキング状態を表すインジゲータです。

ドライバ・専用アプリはインストール不要。ズームと人物トラッキングは、ハンドジェスチャーで操作する仕組みです。

ジェスチャー操作は以下の4種類。

  • 「OK」:人物トラッキング スタート
  • 「パー」:人物トラッキング ストップ
  • 「パー」を3秒間維持:右下の「aicoco」ロゴの表示 ON / OFF
  • 「L」:ズーム調整
     (「ズーム無し」→「ズーム中」→「ズーム大」→「ズーム中」→「ズーム無し」)

背面。

向かって左側面。マイクが確認できます。

追尾範囲はかなり広く、左に90度、

右に90度の計180度。カメラの画角も広いので、アイランドキッチンでもそこそこ回り込めるレベルです。

上下方向のトラッキング範囲は計42度。若干もの足らなさを感じますが、設置時の角度調整によりそこそこ改善できます。

底面には、一般的なカメラのネジ穴である「1/4インチねじ」を用意。

こんな感じで三脚への取り付けも可。ベース部分を開けば仰角のアングルも付きます。

USB Type-A to C ケーブル1本が付属していました。

ジンバル搭載。自動顔追尾の滑らかさが凄い

「AICOCO Smart Live Streamcam(2K)」は、カメラ側に ARM コアの CPU「SV823」を搭載。エッジAI により、高速、かつ、なめらかな追尾を実現したジンバル搭載 WEB カメラです。

世間では、アプリ「NVIDIA Broadcast」や他社の WEB カメラの一部でソフトウェア顔追尾を使える製品もありますが、ソフトによるフェイストラッキング機能は動きが不自然だったり遅延が多い、といった弱点があり、なかなか常用しづらい印象でした。(2022年9月現在)

その点、本製品の人物追尾は極めてスムーズ。さらに、障害物の陰に顔が隠れても頑張ってトラッキングを続けてくれるなど、正直、このトラッキング機能だけを単品で売って欲しいレベルの出来の良さとなっています。

なお、内蔵ジンバルはあくまでもフレーミング専用。手ぶれ補正用ではないのでご注意を。

十分な光量があることが前提の画質

「AICOCO Smart Live Streamcam(2K)」の解像度は 2560 x 1440。WEB 会議には十分な画質と言えます。

画角は公表されていないようですが、感覚値では「これで画角が100度以下ってことは無いだろう」という程度の超広角。ズームは最大2倍まで。

4K 対応 WEB カメラと比較するとさすがに描写力は劣り、その上、超広角のため、顔のディテールを写す用途にはあまり向いていません。

一方、YouTube・TikTok などで大きな動きをする動画配信者の方、例えばオンラインレッスンのような用途であれば、超広角+人物追尾でダイナミックなカメラワークが楽しめます。

私はカメラの画質にうるさいので気になった点も書いておくと、こちらのカメラ、環境によっては、若干、マゼンタ被りする傾向がある気がするので、このカメラが得意とする色温度に照明をコントロールしたり、配信アプリ側で色調整すると画質は改善するかな、とは思います。

ディテールよりも、若干、美肌加工寄りのような雰囲気はあるので、これはこれでアリなのかもしれませんが。

あと、このカメラに限らない話にはなりますが、十分な光量があったほうがきれいに写るカメラと思います。

また、個人的には、この製品に関しては他にもこんな事を感じました。

  • USB 端子が台座の右側にあるため、ケーブルのテンションでカメラが右に傾くのを改善してほしい
  • 縦画面動画対応をお願いしたい。このカメラに限らずですが、そろそろイメージセンサーのアスペクト比って正方形で良いんじゃないかと思うんです
  • 4K 版が出てほしい
  • エッジ AI による人物認識に関しては、正直なところ、監視カメラとか、従業員の在席確認とかのディストピア的用途が一番向いている気がする

いわゆる「エッジAI」の可能性を感じられるカメラ

この手のジンバル搭載 WEB カメラの有名どころには「OBSBOT」シリーズがあり、そちらは既に周辺機器も含めたエコシステムが整っているのが強みです。

とはいえ、昨今の円安の影響もあり、例えば「OBSBOT Tiny」あたりは WEB カメラとしてはかなり高額な部類に入ることから、今回の「AICOCO Smart Live Streamcam(2K)」も入手性が改善されて、かつ、実売価格がお手頃になれば面白い選択肢となるかもしれません。

特に、今後 4K 版が発売されるとの情報もありますので、そのあたりが出てくると状況が変わるかも?

「AICOCO Smart Live Streamcam(2K)」の顔・人間自動追尾は、話題のエッジ AI の実装の1つとして未来を垣間見れる、という技術的な面白さもあります。そういう意味でも価値のある製品と思います。

日本での正式販売は?

2022年6月に入手して、また、例によってネタを寝かせている間、2022年8月に国内での正式発売が発表された本製品。その後、9月15日現在でも国内ネット通販では買えない状況のようですが、まぁ、その内、国内でも販売されることでしょう。

さて、僕がこの機種を使っていて感じたのは、「このジンバルだけ売ってくれ!」ということ。

と思ったら、実は aicoco からスマホと組み合わせて使えるスマートトラッカー「LITTLE DEMON SMART TRACKER」「SMART FOLLOWING PAN-TILT SET」なんて製品が出てるんですね。

そちらも買ってしまい手元にあるのですが、まだ未開封なので、そのうちそちらも使ってみたいと思います。

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