【2024年】年頭戯言とごあいさつ

 last update 2024年1月11日

こんにちは。書き始めが遅くなり、(多くの地域での)松の内を逃した管理人です。ただただ、もう、明けました、としか。

なんかどうにも、年頭は何かしら書かずには居られない質らしく、性懲りもなく、恒例の年頭戯言を今さらながら、したためさせて頂きます。

これが新年最初の記事となります。

徒然に話題があっちこっち飛びますが、ご容赦ください。今年は筆者多忙につき、かなりテキトー。さっき書きました。30点くらい。

ある業界のWEBシフト失敗と窮状、そして広告・収益系でWEBサイトがウザくなる話

長かったコロナ禍もようやく明け、各分野でオフラインイベントが再開となった2023年。

筆者も WEB サイト運営者の端くれということで各所にお誘いいただき、久しぶりに顔を合わせて意見交換できたわけですが、そんな中、あるジャンルの紙媒体がジャンル丸ごと消滅しそうだ、という衝撃的な情報を中の方から伺ったので、今年は、まずはそちらの話から始めさせていただきます。

それにしても、こうして足で稼いだネガティブ情報をどこまで公開すべきかは毎度、逡巡するわけですが、奇特な読み手の皆様なら例外なく弁えておられるでしょうから、読者サービスとしてそのまま書き進めることとします。よし。

昨年末から今年にかけ、大御所お笑いタレントのゴシップネタが話題をさらいましたが、まぁ、そっち系媒体の中の方から、いわゆる4大週刊誌と呼ばれる媒体が全誌とも、持ってあと4年の寿命だろう、という話と、厳しい内情を伺った、という内容になります。

未来の話なので外す可能性はありますし、他社による救済合併・買収が絶対に無いとも言い切れないため必ず消滅する、と断言まではしませんが、とりあえず情報源は確か。秋口に得た情報になります。

紙媒体の窮状は広く知られていますが、中でも週刊誌系は雑誌の売上激減だけでなく WEB へのシフトも難航。トラフィック・収益化の両面でご苦労なさっているとのこと。で、トラフィック稼ぎはいわゆる「特ダネ」と ニュースアプリ、X(旧 Twitter)、Yahoo!ニュース頼り。収益面では、特にニュースアプリ向け配信のマネタイズが厳しいとかで、事態はかなり深刻。

実は、ここ2~3年の国内全 WEB サイトの総セッション数は、コロナ特需の反動やショート動画シフトなどの要因などから漸減傾向というのが正直なところ。もちろんゲーム・マンガ系などジャンルによっては伸びている分野もあるのですが、中でもとりわけ大きく、しかも飛び抜けてトラフィックを失っているのが、先の業界が位置するニュース・速報系分野になるんですね。

紙媒体の WEB シフトも道半ばだというのに、逃げ先の WEB、しかもよりによってピンポイントで速報分野が最悪とは、まったくもって可哀想な話です。

いずれにせよ、ある分野のトップメディアが4誌揃って余命4年かも、というのはかなり衝撃的であり、財務体質の違いからすぐにとは言わないものの、同じ速報系の新聞社なども、有料会員の獲得動向しだいでは中長期的に同じ運命を辿るのではないか、とは本気で憂慮されるところです。

近年、Google が既存ニュースメディアを積極的に支援している背景には、少なくとも記事制作プロセスとして真っ当な取材・編集体制を持つ既存メディアの消滅に対する危機感があるのでは?と勘繰りたくもなるってもんです。

さて、冒頭に挙げたようなゴシップネタは、手斧の投げ先、渦中の人がいて初めて成立するのであり、街のパン屋が Instagram に投稿する「オシャレ自慢」のような純正・自己完結型の情報とは、SEO 的なキーワード戦略的に若干構造が異なってきます。

いずれも初報が1次情報であることに変わりないのですが、先のゴシップは言ったら「他人のふんどしで取る相撲」でしかなく、メインのキーワードを取りづらい分野のコンテンツとなるわけです。

昨年、サイト運営者の間で「過去最大級?」と話題になった、10月・11月の Google コアアルゴリズムアップデートでは、法人運営サイトや実店舗を持つサイト、また専門性の高いサイトが優遇されやすくなったと言われています。

ただ、これが1次情報を優遇しているのか、といえば、どうも一概にそうとも言えないようで。実際には、検索ユーザーインテントに対してより鋭敏な検索結果を返すようになった影響の方が大きい気がするんですよね。

これは例えば、先のゴシップでいうと、スッパ抜いた雑誌名まで指名しないと、なかなか1次情報が1位表示されない、といった具合で。

内部でキーワードオーナーのような概念を持っているのではないか、と勘繰りたくなる挙動ではあるのですが、ともかく、こういう挙動をされるのであれば、多かれ少なかれ「他人のふんどし」を借りがちな週刊誌のような商売は、ますます大変だ、という話にはなってくるわけです。

検索エンジンが公式寄りの情報を優遇する傾向は日本以上に米国でより強いとも伝え聞きますので、今回のアップデートがすぐにロールバックされるシナリオは正直考えづらいところ。むしろ、この方針がさらに強化される方向なのではないか、とは勝手に予想しているところではあります。

ただ、そんな中でも1つ言えることは、昨今の検索周りの大変動は、リアルビジネスのオーナーにとっては好ましいケースが多いはず、ということです。大概なおまゆうですが、公式情報よりも上位表示される古い非公式情報に頭を悩ませていた方は少なくなかったわけですから。

コロナ禍を経て、デジタル世界が幅広い分野を包含するようになった今、Google がこのようなアップデートを加えたことは、私は大いに意味があると確信しています。おまゆう。

少しだけ広告の話をしましょう。

2024年は、クッキーレス化&ログイン不要の無料メディアであるがために読者のファーストパーティ属性情報がない広告枠をどうするのか、という収益化問題が顕在化する年となるかもしれません。

もっとも、「gumgum」のように個人情報を使わずにコンテクスチュアルな広告を配信するテクノロジーもありますし、Google Ad Manager+Reader Revenue Manager の「ユーザー属性を回答させるアンケート」のようなアプローチで枠の価値を高める手もあるでしょう。

最終的にどういった形態に落ち着くかは不明も、なんであれ WEB サイト側は収益確保のため、以下のような施策を模索するのではないか、とは予想するところです。

  • WEB サイトへのログインを要求
  • ユーザー属性(年齢・職業・世帯人数・購入予定品)を問うアンケートを要求
  • (ゲームアプリのような)リワード広告の導入
  • 有料記事・ペイウォールの導入
  • 有料会員制度・ユーザーコミュニティの新設

WEB は無料でログイン不要が当たり前、という常識は少なくとも目先、多少なりとも縮小するのは確実ですが、その先のサイト間競争まで見渡すと、オウンドメディアのように自サイトへの誘導自体が目的であり、かつ、インセンティブとなるディスプレイ広告が掲出されないサイトや、純広告・広告案件だけで回せるサイトとの競合問題があり、淘汰圧の先の未来には見通しの悪さが残ります。

ただ、有料記事化には読者側のベネフィットもなくはなく、例えば、無料では出し惜しみしたくなるが、有料記事なら出しやすくなる情報、というものはあるわけです。

すでに、有用な情報は Discord などクローズドな場所に移行しているケースが少なくない時代ですが、Google としては WEB サイト運営者に対してペイウォールなど広告以外の収益化オプションも用意している状況ではありますので、そのあたりのツールも駆使しつつ、WEB ベースで何ができるのかを模索する動きが今年から本格化するのではないでしょうか。

いずれにしても、2024年の無料 WEB 周りはインターネット老人会の皆々様から見て Bother に見えるムーブが増える、我慢ならない年となるかもしれません。

マーケティング分野が心理学の知見を活用し始めて随分と経ちますが、コンテンツ課金が当たり前となると、無料ラインの線引きや料金形態の設計など、これまで考えなくても良かった領域に足を突っ込む必要がでてきます。また、コミュニティを背負うなら、コミュニティライフサイクルのメンテナンスという難題にも中長期的には向き合う必要が出てきます。

この QUIC・HTTP/3 時代に多少ノスタルジックな単語を持ち出すわけですが、ネットワークの世界には「OSI 7階層参照モデル」という概念があります。

インターネットが家庭・企業へと浸透、その適用領域を広げてきた過程を黎明期から振り返りますと、その歴史は、高重要度・高付加価値のレイヤーが下層から上層へと駆け上がってきた歴史であるようにも思い、現代ではそこからさらに先へと進んで、コンテンツよりもさらに上層、まさに、

「心と感情のプロトコル」

の時代が到来しているのではないか、と、強く感じることがあります。

よく「モノ・コト検索からヒト検索へと移行しつつある」なんて言葉を耳にするわけですが、たかだか個人が生み出せる1次情報の代表格である感想・体験談といった情報だけでなく、コロナ禍においてはその先にある繋がりまでもを得たくて、人は、検索インテントとして「ヒト」を指名していたのかもしれず。

アフターコロナになり、オフラインでの活動が活発化したあと、果たしてこの動きは巻き戻るのか、それとも先へ進むのか。

少なくとも、現状を見る限り、我々は先へと進まざるを得ないように思います。

そんな感じで、引き続き、今年もどうぞよろしくお願いいたしますです。

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